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新着情報

札幌市にある北海高等学校から
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「校長先生から」カテゴリの記事一覧

夏休み明け 放送による校長講話

2021年08月23日校長先生から

少し長めの夏休みが明けて、今日から授業再開です。3年生はいよいよ具体的に進路を決定しなければならない時期がやってきました。これからの時間の使い方には、今まで以上に一日一日を大切にして、よりよい進路の実現に向けて頑張ってください。1・2年生も将来を見据えながら意思を固め、方向性を決定しなければならない時期になってきています。自分と向き合うことを大切にして、なすべきことに取り組んでもらいたいと思います。

さて、いま報告にもありましたが、夏休みに入ってまもなくして、硬式野球部が甲子園出場を決めてくれました。全校的な応援はできませんでしたが、南北海道大会には、炎天下にも関わらず学校を代表して精一杯の力で演奏をしてくれた吹奏楽局の皆さんの力とテレビ越しでもエールを送り続けてくれた全校生徒の気持ちが優勝への後押しになってくれたと思っています。野球部の頑張りはもちろんですが、応援してくれた全校生徒諸君にも心から御礼をいいたいと思います。本当にありがとうございます。

野球部にとって今回の夏の甲子園出場は4年ぶりです。全国最多出場も39回に記録が更新されました。そればかりではなく、10年ぶりになしえた春夏連続出場は並大抵のことではありません。選手たちは、戦うべき最大の相手が自分自身であるということを強く自覚して大きく成長することができた証だと思っています。甲子園に行ってからは豪雨による順延が続き、チームは状態を維持しなければならないという課題を抱えることになりました。神戸国際大付属高校とは、奇遇にも選抜大会に続いての対戦となり、何とか前回の借りを返したいところでしたが、相手も思いを強くして臨んでいるチームです。僅差で初戦突破とはなりませんでしたが、創部120周年の節目に、選手たちには本当に素晴らしい試合を見せてくれたと感謝しています。ベンチメンバーだけではなく、スタンドからも強い思いを届けていた野球部員たちを誇りに思うとともに改めて野球部諸君の健闘を称えたいと思います。

そして、この野球部以外にも、夏休み前の集会で壮行された各運動部・文化部の諸君も、それぞれの大会に出場し最大限の力を発揮してくれました。2年ぶりにインターハイが開催されたことを含め、北海生の活躍を随所に見ることができ大変嬉しく感じました。コロナ禍で開催される大会に参加するには、常に気を遣いながら苦労の多い大会であったと思います。また、全国のレベルは高く、その頂点を目指すには更なる険しい道のりとそれをクリアするための力が必要であることを、大会を通じて感じ取ったことでしよう。

ここで一つ言葉を紹介します。「山上に山あり、山また山」山を登ったところには更に山があるというものですが、この言葉は、保健室前の廊下に南部忠平先輩と並んでおかれている胸像の黒川利雄先輩の言葉です。黒川さんは、がん研究の第一人者として、また東北大学学長を務められ文化勲章を受章している日本を代表する医学博士ですが、かつて本校を訪れた際、後輩に向けて贈られた激励の言葉です。学問・スポーツを問わずどのような分野においても、一つ大きな目標を達成しても、そこが終わりではなく、更にその上にある次の目標にむけて、常にチャレンジし続けていくことの大切さを伝えている言葉です。

この夏までに、北海生は勉強にも部活動にもそれぞれの目標に向けて取り組み、それぞれの結果が伴っていると思います。当然、結果には差がありこれからの人もいますが、大事にしてもらいたいのはここまでのプロセスの中で苦悩したこと、悔しさをバネに取り組んできたこと、こだわってきたこと、工夫をしてきたことなど前向きな行いです。その経験は今だけではなく、必ず人生の宝となっていくことを信じて、これからも基礎・基本を充実させて、次の目標に繋げていく気持ちの整理と切り替えをしてもらいたいと思います。

北海生の良いところは、ひとり一人が目標を持って、互いに切磋琢磨しあえる集団であることです。いろいろなことにチャレンジをしていく中で、他者の努力を認めあい、励まし合うことは本当に重要です。支援や応援には、形として見えるものもあればそうでないものもあります。例えば、家族から得られる支援には経済的なものもあれば、常に見守ってくれているという安心感も大切な支援の一つです。自分のことを良く解ってくれている家族からの支援は言うまでも無く大きなものですが、同じ環境の中に置かれている仲間や友人、そして先生との間に信頼感を高め、励ましの気持ちを強くしていくことが、共にそれぞれの目標を達成していくための絶大な力となります。同じような苦しみや悩みに共感し、それを一緒に克服しようとする経験を、ぜひ大切にして欲しいと願います。また、より多くの人から支援されるためには、常識的人間性を兼ね備えることも必要です。前期末までに、また一つ人間的成長ができるよう皆で頑張りましょう。

本来ならここで話を終えるところですが、今日はもう一つ、皆さんに強いお願いがあります。それはコロナ関係についてです。(略)

コロナ禍では、できなくなってきていることが本当に多く、どうやったらできるかを考え、工夫をすることが大切だとされていますが、今日の状況からは、その前にまずは感染しない、させないという根本的なところから自身の行動を点検し、強い予防意識を改めて持つことが大切になっています。家庭内感染の事例も多くなってきていますので、自宅での生活においても家族といっしょに予防意識を高めて下さい。お願いします。



夏休み前 放送による校長講話

2021年07月21日校長先生から

 二日間に渡るGD・DAY WithB、皆さんお疲れさまでした。

 今回、皆さんの柔軟な考えと吸収力を持って、「新たな北海祭の在り方」をテーマに全校規模の討論ができたことは、大変意義のある素晴らしい企画でありました。これは、実際に取り組んでいた皆さんの様子、表情を見ての素直な感想です。また、成果発表となったプレゼンでは、求められている目的を理解し、その内容から本校生徒会の自治力の高さを感じることができました。中には先生方を巻き込んだ企画や、はるかに想像を超えるようなものも幾つもあって、プレゼンを聴いていてとても楽しかったです。皆さんの企画が実際のものとなるには、まだまだ時間を要し研究を重ねることが必要ですが、ぜひ今後の生徒会活動、次年度以降の北海祭づくりに活かして下さい。

 これに関わって、もう一つ私から皆さんにお願いがあります。プログラムには、全体発表の振り返りというものもありますが、私からは、特に昨日のグループ討論の中で、素直に面白く感じたこと、やって良かったと思ったこと、誰かに助けられたとか、新しい発見とか、そんな場面を思い起こして、それを大事にしてもらいたいと思っています。

 生徒の力でこれだけのことができたということを、1つの成功体験として感じて、ぜひ、お互いを称えあえる豊かな感情を大切にしてもらいたいです。それが良い思い出にしていけるきっかけになるものと思っています。

 さて、明日からいよいよ夏休みです。2年ぶりに開催されるインターハイ出場、また受験勉強など、3年生は高校最後の夏となります。学年を問わずいえることは、今すべきことを明確にした上で、焦ることなく、一つ一つの行いを丁寧にこなしていくことです。学習面では、弱点を見極めて、基礎を固めることが必要な時期と考えるべきでしょう。しかし、その理解ができていたとしても、思うようにいかないケースも少なくはありません。私は、日頃からそこに不可欠だと思っているものは、やはり、強い信念だと考えています。

成功哲学という言葉があるのですが、その提唱者の一人にナポレオン・ヒルというアメリカ人がいます。

この人は、世界中、また多くの分野で成功を収めてきた人々の考え方を分析し、その結果として人生を成功に導くには、いわばルールのようなものがあると唱えました。

 その言葉を借りると「人生を決定するものは才能ではない。また、環境や条件でもない。人生を決定するものは、その人の情熱と信念だ」といっています。信念を持つことの大切さは、言われてみれば当然で、誰もが十二分にわかっていることですが、私たち人間は、そういった大事なことへの意識が日常の中で薄れてしまっているのも事実でないでしょうか。まさに、今のように話を聞いて、改めてその大切さを自覚し直す。私自身もそう反省をしている人間の一人です。

 私は、ナポレオン・ヒルのことばに、アメリカの思想家であるエマーソンの言葉を重ね合わせることがあります。エマーソンは、「人間とは、その人が毎日考えるそのものだ」という言葉を残しているんですが、別の訳だと「明けても暮れても考えていること、あるいは、四六時中考えていること、それがその人なのだ」というふうになります。つまり、共通するのは、「人生は自分自身の、本当に強い思いでこそ成り立っている」という理解になります。

 高校生である皆さんは、普段から自分のやりたいことに取り組んでいます。また、進路についても考え、悩むことも当然です。しかし、毎日、毎日、強い思いを持って、その上で行動しているかというとそうでもありません。目的に向かっていくには、自分の気持ちを、もっと下の方から支えてくれるものが必要なようです。それは、ナポレオン・ヒルが言うように情熱や信念に他なりません。「人生の目標をどう定める」か、この思いが強いものになればなるほど精神的な土台が築かれ、自分の生き方に対する信念にブレや強弱は無くなります。「何のための行動か」を自覚し、「自分はそれを必ずやり通す」という志を常に培っていく姿勢を持つことが、これまでとは違う展開を生み出すものと考えます。北海高校の建学の精神「百折不撓」の根底にあるものは、見かけだけではわからない、人間の根っこに当たる部分をどれだけ大きくして、これだけの生徒が集まる中で、互いを認め合い切磋琢磨していけるかどうかです。

 夏休みはまとまった時間が取れる絶好の機会ですから、そういった心の土台をつくることにもしっかりと向き合ってもらいたい。自分の中で少しでも変化を感じられる夏にしてもらいたいと願っています。

 最後に、夏休み中についてですが、ここ数年、夏の暑さが本当に厳しさを増してきています。以前から生徒会のアンケートでも要望がありました、一般教室へのエアコンの整備をしていくことになりました。また、来年度から学習指導要領が新しくなることから、学校の体制、カリキュラムが一新されることになります。詳細については改めて案内をいたします。

 みなさんにとって、有意義な夏休みになることを心から期待をして私からの話を終わります。

入学式 校長式辞

2021年04月09日校長先生から

陽射しにやわらかな春の兆しが感じられる季節になりました。本日は、規模縮小とはいえ、このように令和3年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして大きな慶びであります。

まずは、北海生となった416名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員、そして皆さんの先輩となる2年生・3年生も皆さんの入学を心より歓迎しております。

昨年度、皆さんはコロナ禍にあって、多くの不安を抱えながらも、人生の大きな節目となる高校受験に挑み、その局面を乗り越えてこられました。逆境の中では、様々なことがらに対して自ら考える機会があったはずです。自分自身を見つめ直すきっかけになった人、あるいは、不自由さを感じる中、自分のことだけではなく、他者のために「何ができるか」「何をすべきか」を考え、自ら行動をとった人もいるかも知れません。きっかけはどうであれ、皆さんのそれらの経験や行動は、これから皆さんが人間的に成長していく上で、必ず財産になるものです。

今日からは北海生となって、この学び舎で新たな友と出会います。高校生活を通じて経験するもの全てが、皆さんにとって、価値ある人生の土台になってくれることを信じてやみません。

北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源とし、創立以来、今日まで135年の歴史を刻んできました。既に4万1千人を超える卒業生は、本校の卒業生であることを誇りに、全国さまざまな方面で活躍をされています。

本校の前身である旧制北海中学校第二代校長の戸津高知先生は、生徒の個性と自学自習、自治的精神を尊重する教育者でした。当時、戸津先生は折に触れ、生徒に「北海生よ、タンポポであれ」と語っていたそうです。皆さんは、タンポポの花をどのようにみているでしょうか。タンポポは、特定の環境でしか咲けない花ではありません。自分が根付いた環境に適応し、時にはアスファルトの割れ目からでも芽を出します。葉や茎が刈り取られようとも時期を見て必ず再生し花を咲かせます。それはしっかりとした「根」を持っているからに他なりません。見た目が綺麗で、部屋で飾られるような花であっても、根が脆ければ環境の変化に対応できず、すぐに枯れてしまうでしょう。植物も人間も同じです。

学力、体力、そして心の力と書く心力などにおいて、本当の強さを手に入れるためには、見えないところで地道に努力をすることが必要となります。中でも素直さや他者の気持ちを理解できる誠実な内面性を磨くことは、それが人間的基礎力になるものと理解して、常々その自覚を持ち続けることが重要です。

北海高校の教育活動の「根」に当たるものを建学の精神といいますが、それは「質実剛健・百折不撓」です。ちょうど皆さんから見てステージ左側に掲げられている書がそうです。この意味は、「明朗・快活で己を飾らず、誠意を持って物事に当たり、どんな困難にあっても挫けない強い意志で自分を鍛える」というものです。どうか、皆さんの中にも、北海高校のDNAを持った「根」を強く育み、タンポポのように、それを深く伸ばして、逞しい青年になることを将来の目標にして下さい。そして、自分を活かすことのできるふさわしい場所に飛んで行き、自分らしい花を咲かせてもらいたいと願います。

皆さんは今、高校生活のスタート地点に立ちました。義務教育を終え高校に入学した今この時が、自分自身の人生を自らデザインしていく、自律した自分づくりのはじまりです。己を律するために、「学びの質の向上」は不可欠です。これまでとは違う意識を持ってもらうために、3つの言葉を紹介したいと思います。

それは、「知りません。教えて下さい。お願いします。」の3つです。これらの言葉は、フランス哲学研究者の内田樹氏の著書、「学ぶ力」という本の中で、人の成長に必要なものとして記されている箇所を要約した際、キーワードとなる言葉です。少し拡げて説明をすると、人の成長に必要なのは、まず、「自分が無知であるという自覚もっていること」、そして、「自分にとって何が先生になるのかを探り当てる力を備えること」、最後に「礼儀正しさ」だと内田氏は述べられています。

高校の勉強が中学校までの勉強と違うのは、端的にいうと、学ぼうと思った者にしか学力は得られないということです。勉強は作業ではありません。正解の無い世の中の課題に対峙する時、必要となる学力は、暗記による知識ではありません。また、誰かにさせられている感覚で勉強を続けても、学力を伸ばすことはできません。「なぜ、どうして」という学びの本質への渇望が何よりも重要です。すべては、自分が学ぶ必要性を自覚することです。しかし、それが難しいと感じるなら、まずは自分の先生を捜してみることです。先生とは、学校の先生はもちろんですが、クラスの友人であったり、学校生活を通じて見えてくる先輩の姿であったり、本の中にある言葉や日常のふとした場面にも存在します。そのようなものを見つけられる観察力、そして共感する力を備えようとする努力から始めるとよいでしょう。そして謙虚さを忘れないで下さい。勉学に限らず、本当に学ぼうと思ったときに、人は謙虚になります。謙虚になったとき、人は自然と礼儀正しくなるものです。「知りません。教えて下さい。お願いします。」生涯にわたり学習をしていく皆さんは、高校時代に限らず、一生学び続けることが必要ですから、その姿勢づくりのために、どうかこの言葉を胸に深く刻んで、これからの北海高校での生活を有意義なものにして欲しいと願っています。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいという思いを新たにしています。

 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くしてまいります。今日から始まる北海高校での三年間が、新入生の皆さんにとって人生の確かな土台となることを心から願い、以上、式辞といたします。


令和3年4月9日 北海高等学校長   秋山 秀司

始業式 校長講話

2021年04月08日校長先生から

今日から新年度が始まりました。皆さんも心新たに今日の日を迎えてくれていると思っています。コロナ対策には、昨年度以上に万全を期して、私たちの学びや思考が止まらないよう工夫を重ねて学校生活を送っていきましょう。学校は集団生活をする場ですから、まずは皆さん一人ひとりの理解と協力、そして大人の対応をお願いします。

さて、学校の特色について話をするようなとき、どこの学校にもある教育目標を基本に話をしますが、私立の場合、その教育目標の大前提にあるのが建学の精神です。本校では「質実剛健・百折不撓」ですね。北海高校は22年前、男女共学になることを機会に、新たに「北海高校の育てたい人間像」というものを設けました。4項目からなるものですが、皆さんは知っているでしょうか? 

それは、Be Independent! 独立心を持った生徒  Be Responsible! 信頼される生徒  Be Active! 「生きる力」を備えた生徒  Be Gentle! 多様性を認め合う生徒 この4つです。

20年の月日が経っていますが、今、正に目指していきたい目標値です。改めて皆さんにもこの存在を確認して貰いたいと思います。北海高校の年間スケジュールには、この目標を達成するための取り組みが網羅されています。三年間を通じて、授業はもちろん学校行事や部活動など、その一つひとつの取り組みが目標達成のためにどれも大切です。昨年はコロナの関係で、その多くが実現できませんでしたが、新しい生活スタイルを取り入れて、今年こそ、どれも可能にしたいと思っています。その際、皆さんには何か一つのことだけに力を注ぐという発想ではなく、すべてのことに全力でチャレンジして、特に諸活動と進路の実現には、少しでも高みを目指し、結果に繋げてもらいたいと強く願っています。

北海高校の特色を表現する時、古くから使われるフレーズに「文武両道」という言葉があります。本来なら学芸と武芸両方に優れていることをさす言葉ですが、実際には、その捉え方は色々です。最近の一般社会では、どちらかというと文が勉強、武が部活動として区別され、学校の特色を表す場合も、進学実績や部活動、特にスポーツの成果などを基に文武どちらかに力を入れている学校だと見られがちです。しかし、北海高校が自ら表現してきた文武両道は、初めから文武を分けていたかというと、私は決してそうではないと思っています。

以前、私が読んだ岩波文庫に、「翁問答」というものがあります。江戸前期の儒学者で、晩年には日本陽明学の祖といわれるようになった中江藤樹によるものです。この中に「文武両輪」という言葉が出てきます。この言葉が出てくる背景には当時の世相が関係します。江戸時代初期は、まだ戦国の世から抜け切れず武力優勢の不安定な時代でした。江戸幕府は、人心を和らげようと、いわば政策的に学問を奨励しました。ですが、「翁問答」の中には、「元来、文武は一徳にして、各別なるものにてはなく候」とあります。要するに、文武は同根一体、つまり、文の根は武であり、武の根は文であるということです。

学問による徳のある知識とその思考によって、物事を正しく捉えて問題を解決することは、結局は武力を行使することなく、多くの人の命を救い社会にも貢献したことになりました。当時の学問は儒学を指しますが、これに従えば、「文武はどちらか一方にのみ捉われてはいけない」。すなわち両立すべきものであるという考えになります。両立とは形だけのことを指すものではありません。成り立たせることですから、それぞれを高めあい、文武両方に最大限の結果を求めることになります。

「翁問答」の中には、心の学と書く「心学」についても触れられています。心学とは、人の内面、つまり心の道徳的可能性を信頼し、徳のある人をいわば先生とし、心を鍛えることで相応しい考え方、生き方が見いだせるというものです。これらから考えると、社会に役立つ人材になるためには、学芸と武芸を両立させようとする、その覚悟ができる強い心をまず持つべきだ、ということになるのではないかと思います。

創立期の北海にあった細かな教育理念と中江藤樹らの儒学による教えが共通しているという根拠は何もありませんが、「質実剛健・百折不撓」の建学の精神を大切にしてきた本校が、古くから部活動を奨励し続けてきたことは、人間づくりには、それが欠かすことのできないものという意義が理解されていたのだと思います。

北海高校の歴史を辿ると、一つのことにずば抜けて秀でた人材がいたこともよくわかりますが、一方で、北海の起源となっている北海英語学校は札幌農学校、つまり現在の北海道大学に進学するための学校でもありました。当時、数少ない高等教育機関に進学するには、当然、個性を伸ばしつつも勉学全般に人一倍の努力をしていたことが想像できます。それこそ文武は同根一体であることを具現化した卒業生が大勢いたのだろうと思います。今と変わらず、当時から多様な生徒が集まっていたこの学校では、いつの時代も生徒同士が励ましあい高めあってきました。今日は、部活動の話をしましたが、文武の武は、決して運動部だけをイメージするものではありません。文化部はもちろん、委員会活動を含む生徒会活動やボランティア精神を大切にすること、何かに属さなくとも、自分の考えで永く継続していることや趣味であっても、武として考えることができます。取り組むものこそ違っても、各々が様々な状況に身を置いて経験することが、自身の進路を切り拓いていくことに大きく役立ちます。皆さんにはそのことを信じ、「本来の文武両道」の意味を再確認して新学期を始めてもらいたいと思います。コロナに屈することなく有意義な一年にしましょう。新年度に当たり、教職員全員で皆さんの活躍に期待をしています。

令和2年度修了式 校長講話

2021年03月22日校長先生から

ただいま、大会の報告、今年度の優等賞など各賞の発表があましたが、それは何かと苦しい一年の中で、皆さんが努力した証です。本当におめでとうございます。新型コロナウイルスに関しては、現在は変異種の拡大が懸念されています。先日の野球の応援でも皆さんに協力してもらいましたが、どんな場面においても、私たちは気を抜かずに、この先も予防の徹底に取り組んでいきましょう。

さて、今年度は2ヶ月遅れによる授業、学校行事・部活動なども行えず、秋には再休校となってしまいました。授業の遅れは、だいたい取り戻せましたが、年間で予定していた講習を例にすると、3年生を優先したこともあり、1、2年生については計画通りには進めませんでした。大変申し訳なく思っています。

ただ、3年生の進路については明るい話もあります。コロナ禍での3年生の気持ちを察すると、少しでも早く進路先を決めたいという思いがあったと思いますが、確実に合格できる保障のない推薦入試に中途半端に時間を遣わず、むしろ自分の高校生活にもっと大きな意味を持たせようと、気持ちを切り替えて、本当に目指したい目標に妥協せず、一般受験にチャレンジした生徒が多くいました。 

結果、国公立大学の合格者は、現在61名になっています。現役で55名を超えたのは久しぶりです。この他、早稲田、明治、立教、立命館、同志社など道外私大にも、多くの合格者が出ています。このように自分自身の考えに変化を持たせ、ピンチをチャンスに変えた先輩たちの成果は、皆さんにとっても大きな勇気になるものだと思っています。

今月1日は、本校の卒業式でしたが、そこで前生徒会長によって答辞が述べられました。コロナ禍を経験した北海高校での生活を振り返り、「繋がる」という言葉について話をされました。人とのつながり、社会とのつながり、命や記憶、伝統をつなぐなど、様々な観点で思いを語ってくれました。その内容には、北海に学んだ者として、それを土台にこれからどんな生き方をし、将来に渡り、母校北海とのつながりを大切にしたいというものでした。その力強い言葉に、私は精神的に自律している人間性の豊かさを感じました。

本来なら最高学年となった3年生が、高校生活のあらゆる場面で精一杯努力をする姿を、後輩たち、つまり皆さんが直接見ることで、自分もこうありたいと憧れのまなざしを向けられるものですが、そういった良い見本となる場面が、十分に伝わり切れない一年であったと思います。

あえて、私から卒業していった先輩たちのことを、ちょっとだけ表現するなら、優れていたと思うことは、まずは心の強さと優しさです。はじめから何でもできる器用さはなくとも、それを修正する力や互いを励まし高めあう力は素晴らしく、ものごとの善悪が判る大人の考え方ができる集団でした。今年の卒業生も人として質実剛健であり、行いとして百折不撓であったと思っています。

来年度は、いよいよ2年生諸君が集大成の学年となり、1年生が学校の中核を担う学年となります。ここで唐突かも知れませんが、皆さんは現時点で、自分は大人である。あるいは大人として振舞えているという自信はあるでしょうか。

当然、理解していることだと思いますが、来年4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。保護者の同意なしにできることが増えますが、同時に自分の責任が社会的に厳しく問われるようになります。

今年1月、朝日新聞を読んでいると、大学進学をした学生が、家計への負担をかけまいと、SNSを利用する中で大金が手に入るという話に誘導され、その結果、大きな借金を作ってしまったという事例を目にしました。記事によると消費生活センターに寄せられる、この類の相談件数は年々増え、2万件近くにも上るとありました。そしてこれらの事例の半数近くが20代前半だということです。

こういったお金に関することばかりではなく、最近は情報化がより高度になって、ものごとを深く考えなくても便利な社会に生活することが可能になってきていることから、何も疑いを持たずに生活することは、常識から取り残され、様々なトラブルに巻き込まれていく可能性が高まります。既に皆さんのほとんどがスマートフォンを持っていますが、当然、メディアリテラシーにも精通しておくことが急務だと感じます。

改めて問いますが、皆さんは、まもなく大人になるという自覚はありますか。何をもって大人か。このことに自ら考えることは本当に重要です。

答えは一つではありませんが、端的にいうなら、まずは精神的に自分を律する自律が基礎となることを理解して下さい。自分勝手に考えない、相手を思いやる、自分と他者との違いを受け入れ、その違いを尊重する。そうすることができて、はじめて金銭的にも自立し、責任感を持って様々なことに挑戦することができるようになります。自分の歩む道を切り拓くためにも、どうか精神的自律が達成できているかどうかから見直をしてみてください。不足していることに気づけば速やかに改善していきましょう。そうすれば、先輩達のように、皆さんが掲げている希望も決して夢ではなく、必ず達成できるものになります。達成できるんだ。達成するんだ。という気概を持って新年度を迎える準備をすすめて下さい。すべては皆さんの意識からはじまります。

明日から春休みとなりますが、有意義な時間にできることに期待をして私からの話を終わります。







卒業式 式辞

2021年03月01日校長先生から

日差しに春の気配を感じる季節となりました。

皆さんは、約一か月ぶりの登校ですが、この間、多くの生徒が受験に挑みました。まずは人生にとって大きなハードルを乗り越えようとしてきた、その努力に敬意を表します。

今年度の三年生は、最終的には見送られたものの、いわゆる大学入試改革の初年度で、また、北海学園併設校推薦試験制度の変更もあって、例年以上に緊張感を持って学習活動に向かってきた学年でした。今年度になってからは、新型コロナウイルス感染予防のため、新しい生活スタイルを踏まえながら、自分自身で時間をマネジメントしなければならない状況が長く続いてきましたが、それは結果として、皆さん自身が「自ら学ぶ」ということに対し、正面から向き合えるきっかけになっていたものではないかと考えます。

皆さんは「自ら学ぶ」ことの本当の価値を知り、自分にとって必要なものを優先的に考え、北海生らしく、ひたむきに目標に向かってこられました。そんな皆さんの実力は、皆さんが思っている以上のものです。ここまでの自分に、もっと自信を持ってもらっても結構だと思います。

さて、ただいま卒業証書を授与した第73期生521名の皆さん、改めて卒業おめでとう。私たち教職員もこの上ない慶びでこの時を迎えています。

卒業生の皆さん、今日の日を迎えるに当たり、北海高校での生活の様々な思い出が蘇ってきているのではないかと思います。私自身も二年前まで、一担任として直接かかわりを持たせてもらった経験から、先日、そのころに撮った写真を見返しました。今年度、コロナ禍で様々な困難と向かい合ってきた一年間とは違い、北海祭や体育祭、支笏湖遠足、弁論大会など北海高校ならではの学校行事におもいっきり取り組み、心から溢れる笑顔をそこに観ることができました。当時の皆さんは、まだまだ上級生の力には及びませんでしたが、明朗快活で、互いの個性を認め合える学年として主体的に行動し、一年次から職業観や学問観の向上と進路の探究にコツコツと取り組んでいたことが、とても印象深いです。二年生の終わりに、この体育館で行われた修学旅行後の沖縄に関する事後研究発表会も、バリエーションが多く、レベルの高いプレゼンテーションをしていたことなどが蘇り、改めて皆さんの成長を感じました。

北海高校には、毎年、実に多様な生徒が集まります。

皆さんはその出会いによって自分自身というものを理解し、日常生活にとどまらず、部活動にも積極的に取り組み、多くの経験を通じて、新たな発見と思考を繰り返してこられました。その経験は、これからの時代を生き抜く力として蓄えられてきたものであり、必ず今後、皆さんが社会で逞しく生きていくための土台になってくれるものと、私たち教職員は強く信じています。

北海高校は、有為なる人材育成を目的に、1885年(明治18年)に開かれた学校です。いかなる苦境をもこれを排除して、何事にも屈することなく前進する「百折不撓」と「質実剛健」の建学の精神を大切に、基礎学力の修得と、時代にあった主体性・柔軟性を兼ね備えた若者を育成することに全力を傾けてきました。すなわち皆さんは、ここにいる多様な教師と友人との出会いの中で、心身ともに鍛えられ、互いに励まし合いながら切磋琢磨するという伝統を身につけてきたことに他なりません。

卒業を一般的な英語では“graduation”と言いますが、もう一つ卒業を意味するものに“commencement”があります。これには「始まり」という意味もあり、「学業には終わりはない」ということをよく表している言葉であると感じます。つまり、卒業とは「終わり」ではなく「始まり」です。では何の始まりかというと、私は皆さんに「生涯教育」の始まりであると捉えてもらいたい。皆さんには、北海高校で過ごした実感を大切に、これからは専門性や教養を身に付け、その知性を基に「自分の課題」に対して、納得できる解決方法を見出せるよう、「生涯、自分で自分を教育し続けていく」その覚悟をもって欲しいと願います。

今、世の中を見ると、世界中が混沌としています。自然災害、様々な格差の広がり、そして新型コロナウイルスに関しても医療体制への懸念、経済の先行きなど多くの課題が交錯し、各々の正義が飛び交っています。変化が激しく複雑で、より多様化している状況は、今までとは比べものにならないスピードで進み、もはや前例主義では立ち行きません。正直、「正解はない」といってもよいでしょう。これらの答えを見出すことは簡単ではありませんが、考え方は、シンプルでよいのだと思います。

一つは「学び続けるという意欲を絶やさないこと」。そしてもう一つは、「自分の信念に従う」ということではないかと思うのです。

信念とは、自分の中で何度も繰り返されているうちに、自分の一部となった思考のことでもあります。信念を持つ人は、自分に対して厳しい姿勢を保ち、自分の信念に従うことは、誰に対しても「正しいことをする」ということに他なりません。己を飾ることなく誠実で、他者のことを思いやる気持ちを持ち続けられることが一番です。

最後に言葉を一つ紹介します。

「かっこ悪くたっていいのだ、かっこ悪さを恐れてはいけない 恥ずかしがってはいけない、どんなかっこうでも真剣に生きる姿は美しい。」

この言葉は、黒澤明監督作品の常連俳優として活躍した千秋実さんの言葉です。千秋さんは、北海中学の卒業で、当時は陸上部に所属し、第二の南部忠平と有望視された大先輩です。怪我が原因で陸上は続けられなくなりましたが、「映画」と出会いました。戦後の芸術、文化の解放に伴い、「大衆に共感を呼び、社会に訴える」作品づくりに情熱を傾け、後にハリウッド映画にも影響を与えたと言われています。

この言葉には、千秋さん自身の信念とそれを貫こうとした生きざまが現われていると思います。そしてそれは、北海に学び、「質実剛健」の精神がバックボーンになっていることも強く感じます。

実は、今年度、北海高校陸上競技部は創部百周年という年を迎えていました。この節目に、もし千秋さんが、卒業する皆さんへ、「生き方のヒントになるメッセージ」を贈ってくれるのだとしたら、という思いでこの言葉を紹介しました。

ぜひ、皆さんにも本校で学んだことを誇りとして、内面を充実させた人格者になってもらいたいと心から思います。

結びとなりましたが、保護者の皆様に一言申し上げます。保護者の皆様、改めてお子様のご卒業おめでとうございます。お子様の成長を願って支えていただいた皆様には、さぞかしご苦労も多かったと存じます。また、コロナ禍における教育活動では、多くのご迷惑、ご心配をおかけしてしまいました。にもかかわらず、この三年間、北海高校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

卒業生の皆さん、そしてご家族の皆様のご健康と益々のご発展を祈念して、以上式辞といたします。


令和3年3月1日     北海高等学校長 秋山秀司

校長講話

2021年01月12日校長先生から

皆さん、おはようございます。新しい一年、皆さんもきっと大きな夢や希望を持って新年をスタートされたことと思っています。未だ拡大が続くコロナ禍に私たちも不安がありますが、年初めに計画したことは、強い決意として、その実現にはどんなことがあっても最後までやり抜く、その努力をして欲しいと心から願っています。それは北海高校の建学の精神「質実剛健・百折不撓」の具現化に他なりません。

今日はまず、コロナウイルスに関する話からです。ウイルスに感染した人の中には無症状のケースが大変多いことがこれまでの中で解っています。学校のように集団生活をする環境で大切なことは、感染しないための予防を確実にすることは当然として、知らない間に誰かに感染させてしまう可能性があるということを、しっかり理解しておくことが大切です。雑な考え、大人げない行動は、また感染を拡大させる原因となります。これからの時期、一層寒さが厳しくなりますが、こまめな換気、食事の際のルールなどは徹底して取り組んで下さい。そして、正しい生活習慣で健康を維持し、心身ともに強い体づくりをして欲しいと思います。

さて、今回の年末年始も例年のようにスポーツの話題が盛りだくさんでした。どの競技も感染予防対策をして、サッカーやラグビー、駅伝など、この時期の風物詩となるものが開催されました。中でも私が毎年ついつい見入ってしまうのが箱根駅伝です。

駅伝のルーツは、古くからあった飛脚制度や、全国の交通基盤が整備された江戸時代に、五街道の一つである東海道において、馬をつかって荷物などを輸送した伝馬制にあると言われています。初の駅伝競技は、1917(大正6)年で、京都の三条大橋から東京上野の不忍池までの約508km、23区間もあり、昼夜を問わず3日間走り続けるものでした。今でこそ世界的な競技となりましたが、だいたい同じくらいの距離を分担して走るルールは、一人一人の個の力よりチーム力が最も必要となる点において、いかにも日本発祥のスポーツだと思います。

現在の箱根駅伝は、東京有楽町の読売新聞社前から芦ノ湖までの往復217.9qを10人のランナーで、一本のタスキに夢を託して走破するものとなり、今年で97回目になりました。今回の優勝候補は、連覇を狙う青山学院大学をはじめ複数の有力校が名を連ねていましたが、初日、往路で優勝したのは創価大学でした。長い歴史の中でわずか4回しか出場歴のない大学の優勝に、実績は無くてもこの勢いがあれば総合優勝もできるだろうと私は思っていました。翌日も創価大学の優位は変わらず、最終10区のアンカーにタスキが渡った時には、2位の駒澤大学との差は3分19秒もありました。もう逃げ切るだろうと確信した私はそこでテレビの電源を切り、夕方のニュースで駒澤大学の大逆転劇があったことを知り本当にびっくりしました。私は一番いいところを見逃した悔しさと同時に、いろいろな疑問が瞬間的に沸きました。

駒澤大学は、優勝経験もある55年連続出場の常連校です。やはり勝ち方を知っているチームと経験の浅いチームとの差が土壇場ででたんだろうか、しかしながら、あのタイム差をひっくり返したアンカーの精神力の強さはすごいな、また、選手を諦めさせないチーム力は、普段からどうやって磨かれているんだろう、そんなことを考えさせられました。そして、改めて箱根駅伝の魅力や、スポーツそのものが、観るものに感動を与える力を持っていることのすごさを感じることができました。

箱根駅伝のルールは、実は大変過酷なものです。往路・復路のすべての中継点で、先頭から20分遅れのチームは、無念にも繰り上げスタートを強制され、それ以上タスキをつなぐことができません。また、来年の箱根駅伝へのシード権は総合10位までとされ、11位以下の学校は、また一からの熾烈な闘いが待っています。タスキは、一度の大会だけのためのバトンではなく、チームと歴史をつなぐものであり、学校の名誉と誇り、そして選手一人ひとりの血と汗と涙が染み込んでいるものです。

長い距離をひたむきに走る駅伝は、人生そのものの縮図とも言われています。平坦な道ばかりではありません。箱根の山では雨風にさらされ、時には雪にも苛まれることもあります。そうした苦難を克服するためには、日頃からのたゆまぬ努力と教訓が必要です。今回の箱根駅伝でも、各チーム、選手ひとり一人の、私たちが知り得ることのできない経験が積み重なって、最後の最後に感動的なドラマが目に見えるものになったのではないかと思っています。

皆さんに知っておいて欲しいことは、こういったメイクドラマはスポーツに限るものではないことです。それは皆さんが普段から一生懸命に取り組んでいるもの全てに共通するものだと私は思っています。どんな思いで練習や学習に取り組んでいるか、努力と教訓のプロセスがあるからこそドラマとなり、その感動を共有することができます。

実は皆さんも、各々のタスキを背負っています。一年には幾つかの区切りとなるものがありますが、ゴールを見据えて、節目節目に自分のタスキをどうつなげていくのかをイメージし、そうなれるように努力して欲しいと思います。北海生ひとり一人の目標に向かう努力は、北海高校の歴史と伝統のタスキもまたつなげていくことに他なりません。ぜひ自分の可能性にチャレンジし続ける一年をスタートさせて下さい。

校長講話

2020年12月24日校長先生から

みなさんおはようございます。
まずは、ただいま表彰されたクラブ、選手の皆さん、本当におめでとうございます。コロナ禍にあって限られた時間と環境下にも関わらず、素晴らしい成績を残されたことに、心からその栄誉を称えます。
さて、改めて令和2年を振り返ってみますが、何といっても新型コロナウイルスに振り回され、あっという間にこの年末を迎えた。そんな感覚でいます。
今月一日、今年の「新語、流行語大賞」が発表されましたが、選ばれたのは「三密」でした。まもなくして、今年一年の世相を現す漢字一文字も発表されましたが、やはりこちらも「密」という文字でした。
「密」という字は、「ひそか」という意味の他に、きめ細かい状況を現したり、深く親しい人間関係を表現したり、場合によっては、物事を成熟させている状態などの意味を持つ文字です。ですが、新型コロナウイルス感染予防の観点からいって、正しく実践されなければならないのは、意識的に「密を避ける」という行動です。
密を避けるための人と人との距離感は、物理的にはそう難しいものではありませんが、心理的な距離感として捉える場合には、注意が必要だろうと私は思っています。私は、今おかれている感染状況の中だと、マスクをしているだけで、自分でも口数が減ったような感覚があるんですが、気持ちを素直に外に出せないような生活が長く続くと、ストレスを感じたりもするでしょうし、それがもとで、いつの間にか信頼感が薄れたりして、人と人のつながりが断ち切れてしまうんじゃないかと思うことがあります。また、無意識のうちに、そんな環境に慣れてしまうことで、ものごとに対し、多様な見方、考え方が出来なくなったり、極端には白・黒はっきりさせるような判断しかできなくなってしまう。これは、従来からいわれている格差社会の特性を助長するものになったり、社会的分断といわれているものに極めて類似するものに繋がっていくのではないかという不安を感じます。そう考えると、むしろ「密」であることこそ人間にとってとても大切なものであろうと考えさせられます。みなさんは、どう考えるでしょうか?
確認ですが、皆さんは、あくまで感染予防としての距離感は正しく取ることができているでしょうか?
逆に周りとの一体感はしっかりと感じられていますか?
こういう時だからこそ、互いを支えあい、励ましあえる雰囲気がとても大切だと思います。これらはすべて意識の問題です。生徒同士、また先生と生徒、家庭や身近な地域での連帯感を生むためには、常に健康的な精神状態を保てるよう工夫も必要です。
例えば、挨拶でもいい。こういう時だからといって挨拶を控えようとするのではなく、むしろいつも以上に、できるだけ多くの人と、必ず目を合わせて、感謝や敬意の気持ちを持って会釈をする。コミュニケーションをとることの基本は、必ずしも「ことば」でないということをしっかりと理解しておきましょう。いかに気持ちを込められるかが重要です。キャッチボールを成立させるには、どんなボールであっても、ことばや意識であっても同じです。取りやすい球を受け取りやすいところにちゃんと返すことができてそれを続けることができる。それが基本です。こういったきめ細やかさ、心が通い合う状態を北海生全体で創り出すことができると、学校も一つレベルアップできるのではないかと思います。
さて、明日から冬休みです。冬休みが明けると、3年生諸君はいよいよ一般受験に臨むことになります。受験への切り替えが何かと大変だった一年でしたが、それぞれが取り組んできたことに、まずは自信を持って下さい。大学入学共通テストになって初めての入試になりますが、決して臆することなく、準備してきたものを出し切ることへの努力が、最も難しいことでありますが、最も大切なことでもあります。受験が終わるまでは、時間を余すことなく最後の最後まで精一杯取り組んで、納得のいく受験になることを心から祈念しています。既に進路を決めた3年生は、心からエールを送って下さい。
また、1、2年生諸君は、次年度に向けた選択科目が確定した時期だと思います。2年生は、年明けに第一志望届の提出もあるはずです。次年度への準備、受験への準備というと春休みをイメージしやすいですが、実は、この冬休みから3月末までの期間をどう過ごすか、考え方、取り組み方が大変重要になります。2年生のこの時期から数えると、受験まで約400日間。これだけの日数があると、現在の成績にとらわれることなく、第一志望校を突破する可能性は極めて高いという客観的なデータもあります。そのことを信じ、覚悟を持ってやるかやらないかは、一人ひとりの決断にかかってきますが、私は、皆さんには、個々の目標を大切にしながらも、心を一つにして互いを励ましあい、勉強も諸活動も、その取り組み方の意識は同じベクトルで進んでいって欲しいと心から願っています。
休み中には年も改まります。どうぞ新しい一年の始まりに、次の年をどんな年にするか強い決意を述べられるよう、しっかり心を整理して、よい年を迎えて下さい。年明け、また元気に会いましょう。以上で私からの話を終わります。

校長講話

2020年10月09日校長先生から

今日は前期終業式ということですので、まずは、ここまでの生活を振り返ってみようと思います。いま各部の大会報告がありました。既に多くの部で代替わりをし、この時期には主に新人戦、更には文化部の活動実績も見られるようになっています。部活動の特性もあって全てが同じ動きをしている訳ではありませんが、北海生は、共通して精一杯ものごとに取り組むことができた。私はそう思っています。結果はさておき、多くの課題に向き合ったというそのことに賛辞を送ります。
今年度、ここまで実施できた学校行事は、新入生だけで実施した入学式と先日行われた体育祭だけでした。臨時休校中の授業の遅れについては、既に取り戻すことができましたが、全てにおいて、生徒の皆さん、保護者や教職員の理解と協力があってのことと感謝しています。
コロナ禍にあって、今後も制約が続くと思いますが、私たちの工夫と強い結束力で、この先起こり得ることも、必ず乗り越えていけると感じています。
後期になると、2年生は修学旅行があり、3年生は、いよいよ受験本番を迎えます。いずれも個々の生徒がバラバラの気持ちで臨むのではなく、互いを励ましあいながら、切磋琢磨する気持ちを大切にしてもらいたいと願っています。
秋を迎え、最近は随分と寒暖差も激しくなってきました。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、これからの時期は、今まで以上に自分の健康管理に注意を払ってください。現状において、感染リスクがゼロになるということはありませんが、安定した生活習慣を保ち免疫力を落とさないこと、そして感染予防の基本となっている換気と手洗い・うがいを引き続き徹底していきましょう。感染しない、させない意識を保つようお願いします。
次に、2か月程前に実施された「学校生活アンケート」に関わる話をしたいと思います。このアンケートは、生徒と教職員が、各授業への取り組み方を互いに確認しあい、今後の改善に役立てること、そして教育環境をより良くしていくための大切な情報を得ることを目的に実施しています。皆さんから出された要望や意見については、真摯に受け止め、特に学校内の環境整備については、できるところから改善に努力していきます。
今年のアンケートには、例年と違い、コロナ禍における学習や進路に対する不安、学校行事がなくなったことに心が満たされていない様子が反映されていました。
   (中略)
北海高校に学ぶ皆さんには、「一人ひとりが希望する進路をしっかりと実現させられる学校でありたい」と常に思っていますが、これを実現するには、皆さんの主体的な取り組みがないとはじまりません。皆さんが進もうとする道を切り拓くためには、毎日の授業と予習、復習の地道な積み重ねと人間力を磨く努力が大前提となります。先生方は、あくまでも皆さんのサポート役にしかなれません。ですから、皆さん自身の時間の使い方が一番の課題になります。
皆さんは、ベンジャミン・フランクリンという人物を知っているでしょうか。アメリカ合衆国建国の父と讃えられ、100ドル紙幣の肖像画になっている人です。
フランクリンは、政治家以外に、学者としても活躍した人物です。彼は高い生産性を発揮するために、自らの生活に規範を設けていました。それは、日常生活全てにおいて、計13項目のキーワードを挙げて、毎日点検をしていました。今日は、その中の3つを紹介したいと思います。
1つ目は「規律」です。フランクリンは、物の置き場所、仕事に関しては、始める時間、終わる時間をすべて決め、その通りに行動しました。2つ目は「決断」。やると決めたことは、必ず実行するということです。3つ目は「勤勉」。とにかく徹底して時間を無駄にしないということです。私は、規律・決断・勤勉、この3つは、13項目ある中でも、フランクリンが最も基礎的なものにしていたのではないかと思っています。
フランクリンは、毎日この13項目を意識するよう、スケジュール帳のようなものを使って確認していたといいます。また、1年を4回に分け、その節目を大切にして改善も図りました。皆さんも今の話から、身に覚えのあるものを想像できるのではないでしょうか?
それは、スチューデントプランナーのことですが、ここで、改めて皆さんのアンケートの回答から推測すると、まずプランナーの必要性に対する意識から見直しをしなければならない人も一定数いるのだろうと考えています。
   (中略)
フランクリンがやっていたことは、実は単純で、毎日同じ時間に同じことを淡々と繰り返していたのだと思います。朝は「今日、どんな模範的な行いをしようか」、そして寝る前には「今日はどの項目で実践できたか」を自問自答する毎日だったのではなかったのかと想像します。
私たちが充実した生活を送るには、規則正しいリズムが必要なのは間違いのないことです。
明日から後期になる訳ですが、皆さんには、自分の進路目標、学習目標を今一度明確にして、時間の使い方を意識したメリハリのある生活を送ってもらいたいと思います。
最後に、改めて私たち教職員は、保護者とも力を合わせて、皆さんを全力で応援しつづけます。自分のため、そして周囲から支援してくれる人に応えるためにも、ぜひ「規律」と「決意」、「勤勉」この3つを生活の中に取り込み、今よりも自分自身に厳しい立場となって、学びに対する質の向上をめざしてください。

夏休み明け 校長先生のお話

2020年08月17日校長先生から

短い夏休みも終わり、今日からまた授業再開です。今朝、元気に登校してくる皆さんの姿、その表情を見て、私も皆さんとの再会を嬉しく思っています。
ですが、新型コロナウイルス感染症については、従来にも増して、予防への自覚を強く持たなければならない状況です。皆さんもニュースなどで知っていると思いますが、最近はとくに若い人たち、学校に関係する人たちの間でも感染が拡がっています。また、まだまだ暑さが続く中、熱中症への注意も必要です。手洗い、うがいに加え、こまめに水分を補給するなど、授業中とはいえ無理をせず、かつ慎重な行動をお願いしたいと思います。
さて、休み前の集会で、私は皆さんに「正しい時間の使い方」について話をしましたが、有意義な夏休みとなったでしょうか。今日もまた、時間に関する話をしたいと思います。
幕末の志士の一人である吉田松陰の言葉の中に「ごくにありては、ごくでできることをする」というものがあります。ごくとは、獄中、いまの刑務所のことです。1853年、アメリカの黒船が下田に来校した時、松陰は、当時の鎖国の禁を破り、密航を図ろうとして失敗し、捕らえられて山口県の萩に投獄されました。その時のことばと言われています。そもそも松陰が鎖国の禁を破った理由は、日本が今後、世界の中で発展していくためには、外国の状況を知っておかなければならないという、将来に向けた野心からくる行動でした。松陰は、投獄中であっても、限りある時間を一時も無為に過ごしてはならないと、自らが学ぶとともに他の囚人やまたその監視の役人にまで、中国の古典である「論語」や「孟子」を講義したとされています。そしてその影響を受けた人たちが、後の日本を作っていくことになります。
松陰の発した一つ一つの言葉には、彼の思想的信条がよく表れています。「自分の命をどう生かすか」 「何のために生きるのか」時代を超えて、人生を豊かにするための教訓がたくさんありますが、先ほどの言葉には、万人に等しく与えられている時間をもっと有効に使うべきだという教えが含まれています。時間は有効に活用すれば精神的にも、物質的にもその人の人生に大きくプラスになります。しかし、時間を自分のものとして活用するには、それなりの意思と努力が必要です。人はとかく難を避け、安きに流れやすいものです。困難なことに何かの理由をつけて一時的に回避したいという心理が働きますが、いつかその代償は必ず払うことになります。
「日本書紀」に引用されていることで知られる中国の書物「淮南子」の中に、「学ぶに暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦学ぶ能わず」という言葉があります。勉強する時間がないという人は、時間があっても勉強しないという意味ですが、皆さんの実態はどうでしょうか。過去のことはそれを認めざるを得ませんが、大切なのは今後のことです。
改めて今日、皆さんに伝えたいのは、時間とは貴重な財産であるということです。財産を持ち腐れにさせないためにも、やるべきことに順位をつけ、自分自身に誠意をもって確実にものごとをやり切る。その精神を磨いて、それを実践して欲しいと願っています。
前期末までは約50日、次の一区切りまで精一杯の努力をして下さい。心から期待をしています。
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