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新着情報

札幌市にある北海高等学校から
新着情報をお知らせしています。

入学式 校長式辞

2017年04月09日校長先生から

式辞 あたたかな陽射しの中で木々が芽吹き、花々も咲き始める、そんな命輝く季節が巡ってまいりました。本日この佳き日に、学校法人北海学園理事長、また北海商科大学学長でいらっしゃる森本正夫先生、北海学園大学学長・安酸敏眞(やすかた としまさ)先生、北海学園札幌高等学校校長・大西修夫(のぶお)先生をはじめ、北海学園理事・役員の皆様、校友会、PTA、旧職員など本校の教育を支えてくださっている皆様のご臨席を賜り、また多数の保護者の皆様が見守ってくださる中、ここに北海高等学校・平成二十九年度の入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりましてこの上もない慶びとするところであります。
455名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんの入学を心より歓迎いたします。
北海高校は、1885年(明治18年)に創立された北海英語学校を起源としております。北海英語学校は、札幌農学校予科(現在の北海道大学)への進学をめざした中等教育機関でしたが、英語の文法やリーダーを教えただけではなく、数学、地理、歴史、理学なども英語の原書を使って授業が行われました。つまり「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」学校であったわけです。その教育のあり方には、新しい時代を切り拓いていこうという理念や志の高さ、清新なフロンティアスピリットをうかがい知ることができるように思います。志によって学校が創られ、教師も生徒も志に生きた、そこに北海高校の教育の原点があります。以来、今日まで132年の歴史を刻み、約4万人にのぼる多くの優れた、かつ個性的な人材を社会に送り出してまいりました。明治、大正、昭和、そして平成と、それぞれの時代の中に刻印されたかけがえのない青春の軌跡こそ、北海高校の歴史に他なりません。今また北海高校の歴史に新たな青春の1ページを加えることができることを、心から嬉しく思います。
人間教育をベースとしながら文武両道の実現をめざしてきた北海高校の教育的伝統は、生徒がそれぞれの個性を認め合い、励ましあいながら切磋琢磨するという校風を生みだしてきました。この春、京都大学に進学した卒業生は「北海は、勉強で頑張る人、スポーツや文化活動で頑張る人、それぞれがお互いを認め合い、応援してくれる。そのことが嬉しかったし、北海の一番の魅力であり、好きなところです」と話してくれました。
新入生の皆さんも、今日からこの北海高校を青春の舞台として、自分を磨き、輝かせ、そして互いに励まし合い、助け合いながら、自立した立派な若者として成長するよう心から願っております。
さて、高校生活をスタートさせるにあたり、新入生の皆さんに望みたいことは、まず何よりも、新たな自分づくりの志をもってほしいということです。人は一度自分なりの生きるスタイルを作り上げると、今度はそれに安住し、あるいは縛られて、なかなかそこから抜け出すことができないものです。新入生の皆さんも、まだ若いとはいえ、既にそれぞれが自分なりの生きるスタイルを身につけているのではないでしょうか。しかし、ニーチェという哲学者は「脱皮できない蛇は滅びる」と述べています。人間も自分を成長させるためには、自分を変えてゆくことが必要です。皆さんには、何よりも中学校時代までの自分から脱皮し、しっかりとした新たな自分づくりの志をもって高校生活に臨んでほしいと願います。高校入学という真っ新な状態にある今この時こそが、新たな自分創りのための最大のチャンスであるはずです。
しかし、自分を変えてゆくこと、変革してゆくことは、容易なことではありません。現実の自分のありようを直視せずに、はかない夢や空想に浸っていたり、あるいは安易に自分を見限って、あきらめや怠惰に流されたりしてはいないだろうかと、自分を省みること、等身大の自分をしっかりと見定めることがまず必要なことです。誰しも心の奥底でよりよく生きたいと願わない者はいないでしょう。よりよく生きたいと願う、その内部の声に素直に耳を傾けること、それが自分づくりの出発点です。しかし、よりよく生きたいと願う自分に素直になることは、思いのほかに難しいものです。青春という、ある意味では空転する季節の中で、時には自分を見失い、投げやりになり、自分をひどく粗末に扱ったりしてしまうこともあるでしょう。人間として成長しようとする時、人はそれに見合った強さと勇気を身につけなければならないのです。また、内省や思索、つまり頭の中で考えるだけで、自分を変革すること、変えることはできません。日々確かな自画像を描き出してゆこうとする強い決意と、具体的で地道な努力の積み重ねによってしか、新たな自分を獲得することはできないのです。新入生の皆さんには、今日から始まる北海高校での3年間、日々の生活の具体的な営みのひとつひとつに真摯に向き合い、心を込めて取り組むことで、よりよい自分を創り上げてほしいと願います。
それではよりよい自分を創り上げてゆくために必要なことは何でしょうか。それは、学ぶということに尽きると思います。
教育哲学者であり昭和を代表する教育者の一人であった林竹二さんに次のような言葉があります。
「学ぶということは、覚えこむこととは全く違うことだ。学ぶとは、いつでも、何かがはじまることで、終わることのない過程に一歩ふみこむことである。一片の知識が学習の成果であるならば、それは何も学ばないでしまったことではないか。学んだことのあかしは、ただ一つで、何かが変わることである。」
(『学ぶということ』国土社・新書 1978)
 学んだことの証はただひとつ、何かが変わること――たとえ失敗や挫折があったとしても、それを機に自分が変わることができたならば、そこには大きな学びがあったことになります。学ぶということは、決して知識を習得するだけのことではないのです。自分が変わる、すなわち自分の考え方やものの見方、そして行動が変われば、世界も変わります。今まで見えていなかったもの、見過ごしていたもの、あるいは見ようとしていなかったものがはっきりと見えるようになり、新しい世界が現れるのです。そこに学ぶということの最も大きな人間的価値、人間的意味があるのだと思います。
 皆さんは、今、学びの新たな出発点に立っています。学びは教室の中だけにあるわけではありません。これからの3年間、学校生活のあらゆる場面で真摯に学び続け、よりよく変わり、成長し、新たな自分を創り上げてほしいと心から願います。
北海高校での三年間の中には、自分づくりの契機となるもの、糧となるものが数多くあるはずです。ぜひ積極的な姿勢で高校生活に臨み、確かな自分といえるものを創り上げてほしいと思います。そのために、私たち教職員も精一杯、皆さんをサポートし、この三年間、皆さんと共に歩みたいと思いを新たにしております。
北海高校には、建学以来の基本精神を表すものとして大切にしている「質実剛健」「百折不撓」という言葉があります。ちょうど皆さんから見て左手にその書が掲げられております。「質実剛健」はうわべを飾ることがなくて誠実であり、心身ともに強くたくましいという意味です。「質実」であることは信頼される人間であるための基礎であり、「剛健」であることは自分らしく生きるために不可欠なことです。また「百折不撓」は何度失敗しても挫折してもくじけないという意味です。北海生の誇りは失敗しないことや挫折しないことではなく、失敗しても挫折してもそれにくじけないことにあります。新入生の皆さんには、自分らしくよりよく生きていくためにこそ、「質実剛健・百折不撓」の精神を自らの中に根付かせてほしいと願います。
 結びとなりましたが、保護者の皆様にはお子様の教育を本校に託していただき、心よりお礼を申し上げます。ご期待にそえるよう教職員一同力を尽くして日々の教育に取り組んでまいります。
今日から始まる北海高校での三年間の生活が、新入生の皆さんにとって、人間的成長の新たな出発点となり、人生の確かな土台となることを心から願い、以上式辞といたします。

平成二十九年四月九日
北海高等学校校長  山 崎 省 一