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札幌市にある北海高等学校から
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修了式での校長先生のお話

2015年03月25日校長先生から

修了式で校長先生からいただいたお話は以下の通りです。


皆さんおはようございます。今年度も今日で修了ということになります。それぞれに今年度を振り返り、自分のあり方をきちんと総括して新年度につなげてほしいと思います。
心の中では今のままではいけないとか、本来こんなふうにあるべきだなどと思っていても、なかなか思うようにことを進めることができなかったという皆さんも少なくないと思います。自分をコントロールすることは難しい。今日は自分自身とのつき合い方ということについて、少し話をしたいと思います。

 まず身近な話から。人間は感情の生き物ですから、誰しも機嫌のいい時と不機嫌な時があります。フランスの哲学者アランがこんなことを言っています。
「もしたまたま道徳論を書かねばならないようなことがあれば、私は上機嫌を義務の第一位におくだろう」
 なぜ、上機嫌でいることが道徳上の最も重要な義務になるのか。ひとりで不機嫌になっていれば、それは自分で自分を苦しめているにすぎない。まわりに他の人がいるときには、こちらの不機嫌な顔によって相手に不快な思いをさせ、その結果、相手を苦しめることになる。自分も相手も苦しめないということこそが、道徳の最も基本的な原理だから、上機嫌であることは自分自身と他の人に対する道徳的な義務であるというわけです。人間は自分自身からも他人からも影響されやすい。自分が不機嫌な顔をしていれば、他の人の心にも不機嫌が影響します。それは決してよいこととは言えないでしょう。
そして、ショーペンハウエルという哲学者が「朗らかで陽気であることこそ、幸福の正真正銘の実体である」と言っています。幸福とは何かの定義はいろいろあるでしょうが、端的に言ってその実体は心が上機嫌の状態、心が晴れやかである状態といってよいのだと思います。逆に不機嫌が、不幸と結びつくことは言うまでもありません。「笑う門には福きたる」といいますが、このことわざには深い真理がこめられているといっていいでしょう。
それでは、上機嫌でいるためにはどうすればよいかということが問題になります。アランはたとえ心が不機嫌であっても、上機嫌な顔をしていることが大切なのだと言っています。心と顔はつながっている。つながっているということは、おたがいに影響を及ぼすことができるということです。
アメリカの心理学者ウイリアム・ジェームズもこんなふうに言っています。
「動作は感情に従って起こるように見えるが、実際は、動作と感情は並行するものなのである。動作のほうは意志によって直接に統御することができるが、感情はそうはできない。ところが、感情は、動作を調整することによって、間接に調整することができる。したがって、快活さを失った場合、それを取り戻す最善の方法は、いかにも快活そうにふるまい、快活そうにしゃべることだ。」
心を心で変えることは難しいことです。私たちはしばしば、心を心で変えようとして自分を苦しめます。心は顔で変えるしかない。心つまり内側を変えるには顔つまり外側を変えるしかないのです。このことが、自分と上手につき合っていくために肝心なことです。
そう考えると、柔道・剣道・弓道といった武道や、茶の湯・生け花などの芸道に代表される日本文化が、型というものを非常に大事にしている意味もよくわかります。先ず型を身につける、というのは単なる技術論ではないと思います。つまり外側を整えることによって心を整えていくという知恵が、そこに働いているのだと思います。また、禅宗のお坊さんたちが、立ち居振る舞い、靴を揃えること、掃除すること、食事することなど日常の動作を修行としてとらえているのも、外側の営みが内面と深く関わっていることに基づいているからでしょう。このことの重要性を、私たちもしっかり認識しておくべきだと思います。動作、表情、服装、整理整頓など日常生活の中のさまざまな心がけや工夫によって、私たちは自分の心をコントロールすることができ、周囲の人々に良い影響も、逆に悪い影響も与えうるのだということです。
自分自身とのつき合い方について、少し話をしました。
 明日から春休みですが、どうぞよい春休みを過ごしてください。新年度はまた新たな気持で頑張りましょう。